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| 『サンタクロース』 |
町は白く染まっている。
今日はクリスマス。
ホワイトクリスマス。
「今年もサンタさんプレゼント持って来てくれるかなぁ…」
ある子供が不安げに言う。
友達が答える。
「あっはっは、ほんとはサンタなんていないんだよ!」
「そんなことないよ!サンタさんはいるよ!」
「お前はガキだなぁ!サンタなんてまだ信じてんのかよ?あれはパパなんだよ!」
「パパ?」
「あーそうさ!パパがサンタの格好してこっそり夜中にプレゼントを置くんだよ!」
「そんなのウソだ!」
「ウソなもんか!去年寝たフリをして僕は見たんだ」
「違う!サンタさんは本当にいるもん!」
「ふん!じゃあ信じてればいーさ、僕はもうおうちに帰るよ」
子供達が寝静まった夜。父親が仕事から帰ってくる。
「ただいま。あの子は寝たかい?」
「おかえりなさいアナタ。えぇ、もう寝たわ」
「じゃあクリスマスプレゼントを置いてこよう」
子供は薄暗い部屋で布団をかぶった。
「パパが可哀想だから今年も寝たフリをしてサンタを信じてることにしよう…」
父親はプレゼントを手に子供の部屋に入ろうとして立ち止まった。
「あーそうだ、悪いけど外のトナカイ達にエサをやっといてくれないか?雪も降ってたしかなりお疲れのようだからね」
奥さんにそう言うと白いヒゲの父親は静かに子供部屋のドアを開けた…。 |
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| 『男と男』 |
現在は作家をやっている後輩の水野という男がいる。ここ何ヶ月かで自信がついたのか、動きも良くなり最近はいいモノも作り出すようになってきて感心している。家にいる時の奴はスウェット姿なのだが、何故かいつもケツだけを丸出しにしている。先輩が来ようが注意しようがやめない。そこは奴にとっては譲れない神聖な領域のようだ。完全に頭が悪い…。奴とはよく色んな物をかけてサッカーゲームで勝負する。以前も書いたが負ければ先輩であろうがコンビニにパシリに行くこともある。
かつて砂漠の戦いでガンダムに負けたグフの使い手ランバ・ラルはアムロにこう言い放った。「貴様に負けたのではない!ガンダムの性能が上だったのだ!」と…。今の私にはラルの気持ちが痛いほどわかる。「貴様に負けたのではない!ブラジルの能力が上だったのだ!」そう言い放
ってやりたい気持ちをグッとこらえ、『屈辱』の二文字をたっぷりと全身に身にまとった私はリベンジに燃え新たな条件を叩きつけた。
『次に負けた方は常にキンタマを出していなければならない…!』
これぞ男と男の、いや、男同士にしかできない真剣勝負である。
「怖いならやめといたっていいんだぜ坊や?」
「いや、僕も男です。逃げるわけにはいかない。やりましょう…!」
10分後、ケツをしまう代わりにキンタマを丸出しにした後輩が燃えつきていた…。そこに運悪く奴の彼女が帰ってきた。
「はぁっ!?何してんの自分!?」と彼女。
「いや、違うんだ、これは男と男の勝負の結果なんだ!」とキンタマ男。
「何言うてんの!?アホちゃう!?早くしまってや!」と彼女。
「今しまうワケにはいかないんだよ!」とキンタマ。
「何でなん!?しまってや気持ち悪い!」と彼女。
「わかってくれ!男の約束なんだ!」と変態。
「ワケわからんわぁ!!頭おかしいんちゃう!?」と彼女。
「男に生まれたからには一生のうちでキンタマを出さなければならない時があるんだよ!」と変質者。
「そうだとしても今ちゃうわっ!!」と彼女。
「まさに今なんだよ!何でわかってくれないんだぁ!」とキンタマ丸出しの彼氏。
「わからんわそんなもん!!」と彼女。
「それはアナタが女だからだよ!ちょっと富澤さんも何とか言ってやって下さいよ!」とキンタマ。
「ごめん、ちょっと何を言ってるのかわからないんで…」と私。
「えぇっ!!」とキンタマ男。
「いいからはよしまって!」と彼女。
「だから無理なんだって!」とキンタマオ。
「無理ちゃうやろが!」と彼女。
「じゃあわかったよ!富澤さんも出せばいいんだろ!?」とキンターマン。
「何で俺が出すんだよ!?」と私。
「もうわかったわ!私が出すわ!!」と彼女。
「何でだよっ!!」と彼氏と私のキンタマ。
何だこの話…。
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| 『美容院』 |
行き着けだった美容院で久しぶりに髪を切った。
頭や首をマッサージされるのは相変わらず気持ちいいものである。普段の生活で他人に頭を触られることと言えば相方につっこまれる時くらいなものだからマッサージは快感だ。きっと犬や猫が頭や体をなでられて喜ぶのはこういうことなのだなと思うと同時に
「今俺犬みたいになってんだろうな」
とおかしくなる。
床屋や美容院で行われる会話方法は特殊だ。ほとんどの会話は鏡ごしで、視界に自分を入れながら行われる。私はいつも、相手を見たらいいのか自分を見てたらいいのか悩んでしまう。どちらも何か違和感を感じるのだ。私は自分の笑顔がしまりが無く、気持ち悪く感じて嫌いなので普段はあまり笑わないようにするクセがついてしまっている。会話の流れによっては店のスタッフも入ってくることもあり、そうなると鏡には自分を含めて四人位写って話している状況でさらに今、全員が同じ方向向いて話してるという絵がこっけいな上に
「俺笑ってやんの、気持ち悪っ!」
と思いながらしゃべっている状況がおかしくなり、何で髪切りながらこんなこと考えてんだろ?と、自分の思考がおかしくなり、隣のパーマ中のおばさんが頭に何かかぶってるのに真顔なのがおかしくなり、切られて床に落ちた大量の髪の毛を見ていたら「ヘアコンタクト」のCMであのダンディなおっさんの使われ方最近おかしいな、と思ったらまたおかしくなって、髪を切ってる間中ずっと笑いそうになるのをこらえてる私が一番おかしいと店の人達は思ってるに違いない…。
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| 『子供』 |
「エンタの神様」に出る様になって驚いたのが、私達を好きだという子供が結構いることだ。身内に頼まれてサインを書くことも増えた。
「知り合いの友達の子供が好きだからサイン書いてあげて」
「昔むかいに住んでた人の子供が好きだからサイン書いてあげて」
「友達の子供の友達の弟が好きだからサイン書いてあげて。お姉ちゃんの方はドランクドラゴンのファンだけど」
ちょっと待て…。
遠いんだよ全員っ!!わざわざ探してきてないか、子供?!
結構間接的には言われるが、私達を好きだという子供に直接あったことはまだ、ない…。
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| 『喫茶店』 |
日テレの帰りにシャレた喫茶店に入ってメニューを見たら高くてびっくりした。一番安い物を頼もうとケーキを頼むと
「飲み物とセットじゃないとダメなんです」と言われたので、相方が頼むコーヒーにセットにできないか聞くと「お一人様一品でお願いします」とかたくなに拒否された。
「じゃあコーヒーでいいです」としぶしぶコーヒーに変えた。
ところが三分後、私の前にはコーヒーとケーキのセットが運ばれてきた。私にとっての「じゃあ」という否定の接続詞が彼女にとっては肯定にとられたわけだ。話の流れからなんとなくわかりそうなものだが…。一番安くあげようとして一番高くなっている…。
「おい、お前ちょっと待てコラ…!」
と、普段ならからんでいくところだが「ありがとう」と笑顔で答えた。え?なぜかって?
それはわりと好みのタイプだったからだぁ!!
ケーキもうまかったし、まぁいいか、と思った。
金が入ったらまた行ってみよう。
テヘヘッ…。 |
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| 『ジキル&ハイド』 |
加賀丈史さん主演のミュージカル『ジキル&ハイド』を見た。かつてからその作品タイトルは知っていたが原作も読んだことがなく、『ジキル&ハイド』=『二重人格の話』ぐらいにしか認識がなかったので内容を知るいい機会だった。
だがいかんせん、急に歌い出すこの『ミュージカル』というシステムには免疫が薄い。セリフ中に突然歌い出し、また何事もなかったようにセリフに戻る為「何で今急に歌ったんだよ!?」というツッコミが全ての歌の後に入れることが可だ。『歌う』という行為を『ボケ』と認識するならば、私にとって全てのミュージカルは『コント』である。毎回慣れるまで開始30分は半笑いだ。
精神病らしき病で入院中の父を持つ医師ヘンリージキルはある薬を開発する。人間の持つ二面性を分けることができる薬だ。ジキル博士は言う。
『我々は誰もが二つの顔を持っている。もしこの善悪という、本来人間の持っている二面性を分けることができれば、我々はあらゆる苦しみから解放されるだろう。これら二つの相反する人格が常に争いを繰り返すことから人間の災いは始まったのだ』
なるほど。つまりこの薬によって全ての人類が「善」の顔しか持たない人間になれば戦争も起きない、ということだ。そしてその薬の人体実験として入院中の父に試したいという。精神状態が不安定な父の思考を善人側に振り切れれば良くなるのではないかという考えだったのだろう。
入院患者を薬の人体実験に使うなど神への冒涜だ!などと、まわりの反対にあいその試みは叶わない。人体で実験しないことには薬の効果はわからない。ならば自分が試すしか道はない、とジキル博士は薬を飲む。ところがジキルの願いとは裏腹に悪魔の様な殺人鬼「エドワードハイド」という人格が現れ、次々と実験に反対した人達を殺していく。止めようとするジキル、止まらないハイド、そしてその結末は…。という内容である。
中でもマルシアさんの演技力、歌唱力が印象的だった。もちろん皆歌がうまいしセリフもとばない、セット転換も袖で生演奏する楽器隊も照明もすごいのだが、ある意味では皆プロだから当たり前のことである。舞台となると自分達は職業柄一般の方とは少し違った目線で見ているかもしれないが楽しませて頂いたし勉強になった。
ジキル博士の様に世の中には「良かれと思ってとった行為」が悲劇を招いてしまうことがある。電車等で年配の方に席を譲ろうとしたら「私はそんな年じゃありません!失敬な!」と怒られたり、友達を笑わせようと仮装してテンション上げて家に遊びに行ったらおじいちゃんが亡くなったとこだったり、開演前に読んだチラシにこのミュージカルの結末まで全て書いてあったり、などがいい例だ…。
拝啓、ドクタージキル様。世の中とはなかなか思い通りにいかないものです…。
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| 『勝負の世界』 |
勝負の世界はいつでも厳しい。
男と男の意地とプライドを賭けた勝負では年齢も経験もフラットで、勝者か敗者しかそこにはいない。狼は生きて、ブタは死ぬ…。
私は今コンビニに『パシリ』に行かされている。
後輩に『ウイニングイレブン』で負けたからだ…。
妙に夜風が身にしみる、冬の夜の出来事だった…。 |
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| 『夏の思い出』 |
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もうすぐ今年も終わろうとしているが、夏は過去最高に忙しく脳がパンク寸前だった。もうだめだ、気分転換をしなければ壊れる!と仲間とレンタカーを借り、海ではなくあえて「川」へ。何年振りかに水遊びをした。
空は蒼く澄みきっていて、水中では小魚が気持ちよさげに泳いでいる。空気がうまい。
東京に出てきて初めて少年の時の様な「夏」を感じた。そんな一枚の写真があったのを忘れていた。「夏の少年」な私。
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今まで私は四季を損してきたのではないかとふと思った。夏だろうが冬だろうがバイトとライブにあけくれ、花火もイルミネーションも自分には関係ないテレビや雑誌の向こう側の物の様にとらえてきた。だが皮肉にもこの逃避行が一瞬だけでも私を現実から引き離したし、現実に引き
戻した。
誰にでも間違いなく夏も冬も同じ様に訪れていたし、それを受け入れるのも拒否するのも自分自身であったのだな、と思う。暑さや寒さだけではなく、夏は夏を、冬は冬を感じるべきであったのだ。私は年をとったのかもしれない。それでもいい。受け入れればいいだけだ。
バーベキューが最高だった。外でセミの鳴き声をつまみにみんなで食事することは夏だからこそできる。
誰かが遊んでいて流してしまったらしいゴムボールを必死にもがきながら取ってやったが持ち主は現れなかった。タバコを吸いながらすりむいて血が出てるヒザとボールを見ながら夏だからいいかな、と納得させた。おばさんが犬を散歩させながら写真の川のコンクリートの上をぴょん
ぴょこと渡っていた。足をすべらせた犬を川に落とすまいとおばさんが首輪のヒモを力いっぱい引っ張る。何とか引っ張りあげたが犬はいい災難だ。もう少しで首を吊って殺される犬を目撃するとこだった。夏だからいいのかな、と自分に言い聞かせた…。 |
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| 『はりけ〜んず』 |
吉本興業所属「はりけ〜んず」の前田さんと食事をさせて頂いた。硬派なしゃべくり漫才を見せる傍ら、アニメオタクでもあり、そういったイベントもこなす、M-1の司会でもおなじみの大先輩だ。
仙台吉本時代によくはりけ〜んずさんも仙台に来ていた。当時別の相方とゆやゆよんというコンビで素人枠の「お笑い虎の穴コーナー」を卒業した私は五分の持ち時間をもらい、やったことのない「漫才」にチャレンジしていた。香盤の後の方にははりけ〜んずさんが控えている。だが、慣れない漫才は伸びてしまい、一年目の私達はネタを途中で終わらすテクニックもなく倍の十分近い時間を最後までネタをやってしまった。そして迎えたエンディング。ガラガラ声で関西弁の全身からイケイケ感がにじみでているのに当時「できるかな」のゴンタくんに似ていた前田さんは当然「他の先輩方に迷惑をかけた」私をイジる。
「自分何年目や?」
「一年目で十分て!」
「舞台上がるのにビーチサンダルって!」
ツッコミ所満載の私をもちろん笑いになるようイジって頂いているのだが、私の頭の中では「あ〜、舞台降りたらシバかれるんだろうなぁ…」という思いしかなく、へこんでいた。
だが、何もなく終わり、自分の中で「言われたことをちゃんとしなくては!」と言う気持ちを持ったまま長い年月が過ぎた。
上京してM-1などでも何度かはりけ〜んずさんにお会いすることになるのだが、その度にあの「しばかれる!」という思いが頭をよぎり緊張する。
そのイケイケ感のオーラは今なお顕在だった。もちろん実際は自分達がちゃんとしていればやさしい先輩だし、常に笑いとまわりへの気配りも半端ではない。沢山ためになる話もしていただいた。あまり「先輩」という存在のいる事務所に長くいたことがない我々にとってこれは物凄く貴重な体験であるし、その分これから先、自分がミスすればもちろん怒られることもあるだろう。でもそれで今後はそのミスはしなくてすむ。
今と昔のメイドカフェについて熱く語る、今まで見たことのなかった「アニメオタク」という一面は、そのギャップの為にさらに私を恐怖へと誘う。だがそれを克服するためにも意外と近かった家にぜひお邪魔させて頂きたいと思っている。そしてあの大好きな「硬派な毒舌漫才」を拝
見しに、ルミネへと足を運んでしまうに違いない…。 |
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| 『熱』 |
年末が近づき、街はイルミネーションでライトアップされると同時にカップルが増加。幸せそうなことでなによりですね。地球が真っ二つになってその割れ目に新鮮なカップルは全員落ちていけばいいのに、と祈りつつネタ書きに精を出す。
少しだけ寝て目をさますと歯茎が腫れ、ノドが痛み出している。あ〜この大事な時に…と熱を計ると37.2度。相変わらず体が弱い。子供の頃から熱が出るととめどなく上がっていく。
小三の終わり、新潟から仙台へ引っ越しが決まった。小さい頃から他人に心を開くまで時間がかかる私にとって転校はまわりが思うよりツライ出来事だった。しばらく大人しくしながら人間関係の繋がりや力関係を見極め、ここぞというタイミングを見計らって存在感をアピールしてゆっくりとのしあがっていく。前の学校で一度築いた地位をリセットしてやり直すのは骨の折れる作業だ。いきなり目立ってはならない。最初から笑いなどとりにいってスベろうものならこの土地での全てが終わる。砂漠にまかれた種と同じだ。慎重に、確実に…。そんな事を考えてる小学生であったわけだが、転校の際に「さようなら会」みたいな物を開いてもらった。みんなが手作りの粘土細工やら手紙やらをプレゼントしてくれた。好きだった子も「手紙下さい」などと住所を書いてくれた。嬉しかったがあまりに荷物が多く、先生が「とりあえずコレに入れておきなさい」と出してきたのはゴミ袋だった。
引っ越しの準備をしていると風邪をひいて寝込んでしまった。いつも肝心な時に熱を出すのは昔から変わらない。あまり記憶に残ってないが、業者があわただしく荷物を運び出す中、ベッドももうないのでこたつで横になっていた気がする。
仙台に着いて体調も良くなったのでさっそく手紙を書こうと荷物を探したが見当たらない。
「手紙とか入ってる袋どこにやった?ゴミ袋に入ったやつ」
母は答えた。
「バカねぇアンタ!ゴミ袋なんて引っ越し屋さんが全部捨てちゃったわよ!」
また熱を出して寝込んだ…。
桜ヶ丘小学校の同級生の皆さんごめんなさい。手紙を出せなかったのは「熱とゴミ袋」の偶然が重なった結果です…。
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